メイキング文化人類学

 秋晴れ。陸上の試合を見てふと思ったが、室伏はだんだん日本人離れしていくような。最初、誰だか分からなかった。それにしても、「パウエルvs末続」とかいう煽りは実に見苦しい。格が違いすぎるでしょうに。
 深夜、NOAHの4メンタッグマッチ。田上vs柴田という図式。全日出身の田上が馬場の技(ランニング・ネック・ブリーカーなど)を使うのに対して、柴田は猪木の技、というよりもほとんど顔真似で対抗。あごが出ていたら猪木イズムというわけでもないでしょうに。
 
 

メイキング文化人類学

メイキング文化人類学

 ほとんど趣味と化した人類学系の本を読む営み。ウチにあったので、時折つまみ読みしている。良書。DVDに特典としてついている「メイキング映像」のような感じで、文化人類学の重鎮が古典的著作をどのように生み出していったのかを具に探る。スパイ疑惑なんかが問題になったせいで「植民地主義の侍女」呼ばわりされ、70年代後半以降、文化人類学者は、マリノフスキーやボアズなどの古典を徹底的に批判検討する必要に迫られた。俗に言うポストモダン人類学がこうした流れを推進していったわけだが、それにしても人類学の先達がなんだか悪者みたいな扱いを受けるようになってしまったのは忍びない。本書は、人類学者の先達を「ポスト」連発の現代の視点からばさばさ斬るのではなく、当時の文脈を大事にし、そこに寄り添いながら、人類学者たちの苦悩や逡巡を明らかにしようという試みである。「メイキング」の現場に立ち会えば、「植民地主義」なんていう平板な言葉で、人類学を片付けることなんてできない。他の学問の学者や文化人類学を志す学生に対する入門書の趣が強い本書は、文化人類学に対する関心を刺激し、その経験を新たな「メイキング」へと引き継いでいく。個人的にはボアズ=文化相対主義の印象が大きく変わった。心情的には、現場主義よりも、フィールドに幻滅したレヴィ=ストロースやフィールドに行かないで『菊と刀』を書いたルース・ベネディクトに親近感を覚えるけれど。