とっくに終わっちまった青春(努めて長渕風に)

 D論その他。甘いものが苦手な私に嫁がワインとチーズのプレゼント。フィレンツェのワインなのだそうだが、ネットで等級を確認すると最上級。1000円だったという。ほんまかいな。おいしく頂きました。あまりものを味噌で炒める。調子に乗って焼酎にまで手をつけたら、睡魔が襲ってきて轟沈。25時ぐらいに覚醒し、読書。

グミ・チョコレート・パイン パイン編 (角川文庫)

グミ・チョコレート・パイン パイン編 (角川文庫)

 完結編。グミ編を読んだのが確か高校のとき。あれから15年ほど経って、パイン編を読んだ(チョコ編はまだ読んでいない)。相変わらず前のめりな感じの青春小説で、この荒唐無稽な感じがたまらない。夜郎自大式に自分のあり方を妄想し、七転八倒しながら理想と現実との折り合いをつけていくというお話か。自分は空っぽだ、けれど空っぽだからこそ色んなものを詰め込める、なんていうキャッチーなフレーズを織り込みながら、主人公ケンゾーが一人の天才少女との格闘の中でもがき苦しみ、やがてその格闘自体が架空なんだという苛烈な現実に向き合う。ブルース・リーの有名なセリフのような教訓を前に、一皮剥ける男の子たち。おじさん・おばさんに片足突っ込んでいる読者なら、甘酸っぱい青春の記憶と共に、「あー、あったあった」と頷くことでしょう。たくさんのポップカルチャー的情報と共に。私は、バレー部で強烈に長距離走が速いひとりの旧友が、ある夏の巨大台風来襲の際、増水した用水路に嵌り、溺死したという逸話を思い出した。たくさんのイタイ思い出と共に。