二日目

 7:00過ぎ、「オテル」の一階にて朝食。お金持ちそうな人が多数。場違いな感じ。日本人が自分たちだけなのを見て、ようやく外国気分に。朝食は軽めのバイキング。昨日のスーパーの食品と同じく塩味。イタリアは塩が有名。イタリア人も塩好きなのか。
 8:00過ぎ、とりあえずタクシーを初体験。バチカンまで。時間にして20分ほど。料金は12ユーロ。英語は全く通じないので、片言のイタリア語で頑張る。おつりをチップで渡し、Musei Vaticaniの入り口付近に連なる列に加わる。一時間ほどして開館。ツアー客が先に入場。7割近く日本人。その後、すぐに入場できる。オフシーズンなので、あまり並ばなくとも大丈夫。入り口でボディチェック。料金は2人で26ユーロ。館内は一方通行。いきなり壮観。天井も床も壁も一面装飾が施されている。首と腰が痛い。絵画やタペストリーを通り過ぎ、システィーナ礼拝堂へ。絵画が単体のテクストとして機能しているのではなく、それが寄り集まってコンテクストとして機能するというか、空間全体が芸術。多くのモザイク画やフレスコ画が建築物を模したフレームと一体となっていることからも、建築と絵画の高い親和性を感じる。
 システィーナ礼拝堂内部は写真不可。法王選挙が行われる神聖な場なので「静かに」との声が断続的にかかる。ミケランジェロが6年かかって描いた「最後の審判」を始め、「最後の晩餐」などなどを堪能。ここまで来るとほとんど狂気ですな。この辺りが「ラファエロの間」への分岐点だったのだが、気付かず外へ。前法王への哀悼の意を示す礼拝所から逆戻りはできず、そのまま外へ。
 ちょっと一服して、サン・ピエトロ大聖堂へ向かう。入り口でボディチェック。ボディチェックを抜けて少し行くと、あからさまなスリを目撃。長袖のシャツの右手を抜いて、腹部の辺りから右手を出し、観光客のバックパックを開けて回っている。観光客は上ばっかり見ているもんだから、案外引っかかるのかも。中に入ると、そのスケールの凄さにビビる。カトリックの総本山なんだから当然といえば当然なのだけど。ひっきりなしに彫刻や絵画が並び、その広さ、高さは尋常ではない。ミケランジェロの「ピエタ」もここにあった。表象不能の神の存在を表象しようとするその艱難辛苦は、かくも想像を絶するものなのか。10年分ぐらいのため息をつき、呼吸困難になりそうになりながら外に出る(ウソ)。
 サン・ピエトロ広場から右の方へ出て、セルフサービスの「リストランテ」で昼食。サラダ、メイン、デザートの3種をセレクトして13ユーロ。飲み物はこういうところで買うと異常に高いので注意。500mlのコーラが3.5ユーロもする。ラザニアが旨かった。その後、カフェでカプチーノ。休憩を終えて、反時計回りに外周を回り、「ラファエロの間」を見るべく、再入場。ここでスリに初遭遇する。チケット売り場付近で嫁がお金を整理していると、怪しげなイタリア人が接近してきて、「あれはいくらなんだ(想像)」と話しかけてくる。嫁が返そうとすると、下で右手が妖しく動いたので、嫁の手をガッと引き、ディフェンス。男は足早に退散。事なきを得る。もっとも、我々はダウンジャケットの下にカバンを隠しているので、スラれようがないのではあるが。再び「システィーナ礼拝堂」を通過し、「ラファエロの間」を堪能。最早何もいうまい。お土産売り場がこんなんだったりする。
 サン・ピエトロ大聖堂入り口の右手にクーポラへのエレベーターがある。一人7ユーロ。on foot 4ユーロ。ここは迷わず前者でテラスまで。そこから足で登る。結構疲れる。クーポラからの景色は絶景。夕焼けが素晴らしいらしいが、昼間だったので。プルプル震える両足を一喝し、広場に戻って出店でビール。普通に買うと2ユーロ以下のビール(Beck's)だったのだが、ここはお祭り料金4ユーロ也。

 広場から真っ直ぐ川沿いに進み、サンタンジェロ城をパチリ。途中、売り子さんに「ハメハメハー」と声を掛けられる(「ドラゴンボール?」)。橋を渡り、ネプチューンの噴水など3つの噴水が集まる広場で、 「ホテル・カリフォルニア」を演奏する流しのギタリストの前で休憩、細い路地をいくつか抜けてパンテオンへ。ラファエロの墓があるというがどれがそれなのかわからない。近くの泉で休んでいるとジモティの若者に水を掛けられる。東洋人は目立つのだろう。まあよし。テルミニ駅の方向に進みながら途中にあるものを楽しみ、「バール」で休憩。サンドウィッチ、パン、ビール、5.4ユーロ。観光のメッカを離れると何でも安い。トイレのフラッシュボタンを間違い、非常ベルを鳴らす。嫁も鳴らす。イタリアのトイレは結構、非常ベルを鳴らす紐が垂れ下がっている。いい忘れたが、イタリアのトイレは、十中八九便座が無い。
 ここの三叉路で道を間違う。しばらく迷って元の道へ。お決まりの喧嘩。大体疲れてきたら必ず喧嘩になる。で、ぶつくさ言いながらローマ三越の辺りまで。テルミニ駅前のバールでマルゲリータ+ビール6ユーロ。マルゲリータが結構でかく、お世辞に旨いとはいえない単調な味だったので最後らへん苦労する。ホテルへ。アップダウン厭わず、15キロは歩いた。22時ごろベッドで昇天。