道楽

 2日ほど前のこと、ある友人が関西方面に旅立つということで、2度目の送別会。大学時代以来となる友人と、ほぼ8年ぶりに再会。美女で鳴らした彼女だったが、人生の荒波に洗われ、少々水を飲みすぎたようで、ややふくよかになられた。おたがいさま。2次会は男同士で、焼酎1600本を揃える名店で。いいかげん、意識も朦朧としてきた頃、いつのまにか社長が隣に座っている。某有名和菓子店の社長で、道楽、あるいは税金対策の飲み屋。すでにできあがっておられたので、まともな会話にはならず、酔うと若干キレキャラの社長と意味不明の会話を閉店まで。これだけ焼酎を揃えておいて、焼酎が嫌いというのは酔狂。ラーメンで〆て、久しぶりの千鳥足で帰宅。時計が壊れただけですんだのはよかった。
 昨日、キレキャラの社長との邂逅のせいか、台所の電球が切れる。調理後、指が全部残っているか、丹念に確かめる。
 以下は映画の感想。

事実にインスパイアされた凄腕の青年詐欺師とそれを追う中年刑事の物語。嘘から出た真というか、司法試験に2週間の準備で合格してしまうという逸話は本当か。「騙り」を実際の父子関係と犯人―刑事の擬制的な父子関係の「語り」で構造化。

フォーガットン [DVD]

フォーガットン [DVD]

飛行機事故で子供を失った悲しみに伏せる女性が、誰もその事故のことを記憶していないことに気づき、あろうことか彼女の捏造だと指弾されるに至り、事故の真相を究明し、本当は生きている息子を救出しようと奔走する物語。国家の陰謀だったら面白くなりそうなのに、宇宙人の陰謀というのはちょっと。虚偽記憶症候群を参照したのか。あるいは単にUFOアブダクションか。原因には迫れないものの、姿を見せない<他者>による記憶のすり替えというテーマはちょっとおもしろかったりもする。B級の匂いがぷんぷんする一方で、空高く人間や宇宙人が舞い上がり、虚空に吸い込まれていくあの一連のカットは、歴史に残るのではないか。

スイミング・プール 無修正版 [DVD]

スイミング・プール 無修正版 [DVD]

女性ミステリー作家が出版社の社長の別荘で執筆中に、社長の娘がやってきて、奇妙な同居生活を開始、やがて殺人事件が起きて、というようなメタ・ミステリー(といいきってしまってよいものか)。多様な解釈を許容するラストに、狐につままれた気分になる。「何かを隠すために別の何かを見せびらかす」というテーマが視覚的に構造化されている。そのメカニズムは、結局、誰の前に立っても決して直視されることのない小説家自体のミステリーへと逢着する。窓から出来事を眺め、こそこそと人の秘密を嗅ぎまわり、情事の模様を盗み聞きし、日記帳を盗み見る。けれど、彼女自身の秘密は徹底的に隠される。そして、物語自体が彼女の創作であることを示唆しつつも、創作と出来事の分別が極めて曖昧なラストが、小説家をさらにミステリアスな存在にしている。