暗いところで東国原に聞いてみろ

 余談。
 CSでバブル末期の音楽番組をやっていた。
 司会はバブルガムブラザーズとバブリーなドレスを着た長野智子。演奏のあと、彼らと若手出演者たちが屈託のない飲み屋漫談に興じるコーナーがきっとこの番組のウリだったのだろう。外形的には「夜ヒット」の姉妹版という設定だが、『ルパン』と『コブラ』のような良好な関係は築けなかったのは誰の目にも明らか。
 ユニコーン「働く男」やピンクサファイア「P.S. I Love You」を聴いて郷愁に浸る。しかし、BGブラザーズがピンクサファイア・ボーカルの胸に穿たれた谷間へとオヤジギャグを滑り込ませようと必死に食い下がるのを見ているうちに、だんだん現実に引き戻される。ついには彼女の防波堤になっていた長野智子の洗濯板までもが標的となり、一触即発の刹那、画面の向こうは冷凍庫にしまいっ放しのロックアイスみたいに氷結する。あの空気を溶かす甲斐性を、僕は持ち合わせていない。ポストセクハラ時代を生きる僕には刺激が強すぎる。
 トリには、モード学園みたいな近未来スーツに身を包んだ東京少年が、「僕をさがしに」と題された自分探しソングを熱唱していた。正しいキーを捜すことが先決だと思う。
 

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

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知事の世界 (幻冬舎新書)

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生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

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