トロミがきついなあ、トロミが

 読書、その他。台所の掃除をする。片栗粉をひっくり返してメゲる。引き摺って、作る気が起こらず晩飯は弁当に。生かつおと昨日の残り物もつけてみました。あ、ビール、いや正確には第三のビールも。
 
 

 前者は、ご存知亀井俊介マリリン・モンロー評伝。いろんな伝記を渉猟し、モンロー神話を読み解こうとしている。「白痴の金髪娘」という世評に反して、モンローに文学的才能というか演出能力というか、彼女が自分で自分の神話を積極的に構築していく様に注目しているところが出色。ノーマン・メイラーアーサー・ミラーも出てきます。『アメリカで一番美しい人』と若干被っているかも。若干です。
 後者は主として19世紀後半のヴィクトリア朝時代に勃興してきた文化/商業形態である「ミュージック・ホール」について、詳細に解説し、分析したもの。初めはパブがあり、そこで次第に音楽の演奏などをやっていたりもしたのだけど、なにぶんお上品なことを押し付ける中産階級が力を振るう時代のこと、法規制を課せられることに。そこで生まれたのが法の網を掻い潜る「ミュージック・ホール」という形態。この形態が、階級間のパワー・バランスを巡るヘゲモニー闘争の場となっていた、というのは言い過ぎかもしれないが、いずれにしても禁酒運動家などのお偉方との綱引きがあったり、一方でミュージック・ホールを経営する人たちの方からrespectabilityを演出し、「観客」を生み出していったりと、とてもとても一筋縄ではいかない。後半はさらに一歩進んで、大英帝国の広がりを知らない一般大衆がそれをイメージする装置としてこの場所が機能していたことを分析している。音楽と禁酒運動って、アメリカでも関係あるのだろうか。文庫本ですが、この分厚さ。満腹です。