4日目

 さすがに疲れが出て、9時ごろに朝食。ちなみに朝シャワーを浴びようとしたらお湯が出ない。多分、他の宿泊客が一斉にシャワーを使っているせい。しょうがないので、水でどうにか。

 オペラのチケットを購入。一番安い桟敷席は何にも見えないとのことだったので、その次のカテゴリーのバルコニー席を購入。2人で86ユーロ也。続いてNazionale通りを西へ。途中、ローマ最古のアングリカンチャーチを見物。カトリックに比べるとやや質素。それはそうと本日は「女性の日」(Festa della Domna)。男性が女性にミモザの花をプレゼントする習慣があるらしい。いつもは三脚や傘を売り歩いている売り子も、今日は黄色い花を手にしている。休日なのか、中高生らしき一団が奇声を発しながら、我々と同じ方向へ歩いていく。イタリアでは群れた若者をよく見かけた。2,3人単位ではなく、10人単位。集団行動が好きなのか。

 バールで一休みして、名前の分からないマリア崇拝の教会に寄り、ヴェネツィア広場を右折、北上する。しばらくいって右手の教会に寄り、一休み後、しばらく直進、ほどなくして右折し、「トレヴィの泉」へ。狭い空間に大勢の人。そこそこに退散。

 北上してトリトーネ通りに出て東へ、ほどなくして左折、北上。しばらくいくと「スペイン広場」。若者が多数。「スペイン階段」を登って、高台に出る。どこにでも出没するグラジエーター、そして噂のミサンガ売りも目撃。高台に「トリニタ・ディ・モンティ教会」。賛美歌を生で聞く。本日のハイライト。前に座っているスペイン人が涙ぐんでいた。

 スペイン階段を降りて、右手にある公衆トイレに。階段を降りると、警備員と掃除人が。この掃除人、やたら「ありがとう」を連発。適当にあしらって男子トイレに入ると、女子トイレから聞きなれた悲鳴が。駆けつけると、なんでもこの掃除人が「ありがとう」を連発しながら、女子トイレに入ろうとしたらしい。(後から考えると、この掃除人はチップを要求していたのかも。freeのトイレなので払う必要はないのはいうまでもない。)しかし、まさかローマで嫁のスクリームを聞くことになるとは。
 ブランドショップが多数ひしめく通りを右往左往しながら、バイロンキーツも足しげく通ったという「カフェ・グレコ」へ。この辺、人のまばらな横道には、「強盗ですよ」といわんばかりの大きなサングラスをかけた若人が陰に隠れていたりするので注意。若者たちに「ありがとう」を連発されながら、カフェ・グレコ入店(イタリアのテレビを見ている限り、「ありがとう」や「さようなら」はギャグになっているようだ)。高級感漂う佇まい。お値段もセレブプライス。ちょっとしたディナーが食べれそうなくらいのお支払い。給仕の方々が執事風で、ちょっとした執事カフェの趣きも。トイレはチップ制。「執事」に通常の3倍ほどのチップを弾み、優雅に退店。

 さすがに疲労の波がどっと押し寄せてきて、ちょっとホテルに帰ろうか、ということになり、もと来た道を帰る。「アメリカ大使館」周辺まで来て右折しホテルへ。シャワーを浴びてちょっと休憩。しばらくして、『地○の歩×方」に載っているリストランテ「サンティ」へ。入ってびっくり。オール日本人。料理はうまいし、安い。日本人のカップルが入ってすぐ出て行ったが、日本人ばかりなのに嫌気がさしたか。しかしまあ、観光なんてそんなものだと思うのだが(どこ行っても日本人いるでしょ)。オーセンティックなローマ、とかいっても、所詮は観光のために区切られた区画の中を我々は見ているわけで。そういうのも含めてローマなのではないかしらん。とりあえずBoorstinを読め。
 店を出ておみやげを買いに、「オペラ座」近くの店へ。酒、パスタ、調味料などなど。「出雲のトーストマスター氏」の助言どおり、一期一会の精神で、目に付いたものは籠に入れていく。ここの主人、実にhospitable&sociableな方。外見は子泣きじじい風だが、動きやしゃべり方は(ハリウッドスターを真似る)池乃めだか風。ローマまで来てめだか師匠の偉大さを思い知る。
 「オペラ座」へ。どこのリストランテも正装なしで行けるので調子に乗って普段着で来てしまったが、みなさん正装してらっしゃる。しまった。スーツもってきたのに。日本人のみなさん、すんません。演目は「ヴェルテル」。凄い迫力。なのだが、連日の疲れとワインの麻痺力が瞼を降下させ、じきに爆睡。2幕後の幕間で退散することに。無念。いつかリベンジ。ホテルで睡眠の続きを。