骨音

 もろもろ。
 焼肉屋に弁当の宅配を頼むも、待てど暮らせどやってこない。肉焼いてメシ詰めるだけなのになにやってんだ、とイライラすること1時間超、ようやく呼び鈴がなる。やってきたのは女の子。珍しいなあ。なんでも道に迷ったとか。しかも電話番号のメモを誤読しており、ひたすら違う家に電話し続けていたという。平身低頭な姿にとりあえず許す。ヨキニハカラエ。冷えた弁当を温めるのすらめんどくさく、そのままがっつく。うまいうまい。

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)

骨音―池袋ウエストゲートパーク3 (文春文庫)

 IWGP第三弾。ミステリー色はやや後景に退き、人間臭さがより表に出た印象。ホームレス襲撃事件を音楽ネタで鮮やかに変奏する「骨音」は、ホラー小説の趣きあり。「西一番街テイクアウト」は、ほとんど謎だらけだったマコトの母が事態収束の端緒を開くマンガ的なお話。地域通貨の流通と偽造通貨の跋扈とを絡めて貨幣の本質に迫る「キミドリの神様」は、思わず「NAM生成!」と叫ばずにはいられない(?)。書き下ろし「西口ミッドサマー狂乱」は、レイヴパーティとドラッグとの代補的な関係を一夜のカーニヴァルに昇華させる。日常に脱出口を穿つ人工的な陶酔は、やがてその穴を熱狂で埋め、ついには後戻りできない自死の世界を塗りつぶす。悟りを開く場は、いつの時代もインドなのだな。あとがきはドラマ版の脚本を書いた宮藤官九郎。ドラマ見てないのでよく分からないが、未知のものを目撃する視聴者(あるいは宮藤)と同じ目線をもったカメラとしてマコトを描いたということで理解していいものか。ふーん。