CL準決勝1st leg、マンUvsミラン。3−2。レギュラー陣が次々故障に見舞われて守備が不安のマンU。FW陣が頼りにならず攻撃はカカ頼みのミラン。その図式通りの展開。
 マンUは、ルーニーが中央、ギグスロナウドがそれぞれウィング気味に左と右に張り、スコールズキャリックフレッチャーがそれぞれバランスをとりながら中盤を構成、左からエヴラ・エインセ・ブラウン・オシェイが並ぶ急造DFライン。他方のミランは、ジラルディーノのワントップをカカ・セードルフが追い越し、アンブロジーニガットゥーゾピルロが後方支援、ネスタマルディーニのCBにオッド・ヤンクロフスキのSBという布陣。中盤の展開力で勝負するマンUと中盤の守備力でカウンターを狙うミラン
 前半5分、右サイドのコーナーキックロナウドがヘッドで合わせ、ジーダの肩に当たるも、そのままイン。マンUがあっさり先制。このまま攻守の関係が確定するかと思いきや、ここからミランが完全に中盤を掌握。マンUの攻めはことごとく単発に終わり、頼みのロナウドミランの連動したスペース管理に突破の機会が得られない。この日のロナウドはドリブルとパスのバランスが悪く、ドリブルしては取られ、パスしては取られの繰り返し。だんだんミランに流れは傾く。前半22分、中央やや左からセードルフが短いグラウンダーのパス。手前のジラルデーノが交差しながら外に流れると同時に内から左前に鋭く走りこんだカカがワントラップで二人を振り切り、そのまま右隅に流し込む。美しいゴール。マンUのギアは上がらず、反対に前半37分、ゴールキックで弾んだボールをブラウン(?)が逸らすのを見逃さなかったカカがカット、左に引き付けて、右足で右方向に大きく浮かせてDF二人を翻弄、そのままファンデルサールとの勝負に持ち込み、あっさり右隅に決める。カカの個人技でミランが逆転して前半を終了。
 中盤で主導権を取れなかったマンUが何か手を打つかと思いきや、後半も変わらず同じメンバー。但し、ギグスロナウドがポジションを交代し、撹乱を狙う。そもそも控えに切り札となるような選手がいない。やるとしたら、フレッチャーに代えて、スミスを入れ、2トップに変更というところだったが、とりあえず様子見。一方のミランマルディーニが故障、ボネーラを投入。
 前がかりにならざるを得ないマンUは積極的に攻める。左サイドをロナウドに預けて、残りの選手を中央・右サイドに集め、スペースの開拓を狙う。マンUのペースになる。ここでガットゥーゾが負傷、代わってブロッキ。ここが分岐点だった。中盤のスペースを豊富な運動量で消していたガットゥーゾがいなくなったことで、スコールズキャリックフレッチャーが飛び出すスペースが次々と生まれる。必然的にミランはラインをずるずる下げる結果に。59分、中央のパス交換からスコールズがゴール前で右足アウトでふわっとスルーパス、胸で受けたルーニーがDFと競りながらゴール。こうなると、ミランはカカを残して引きこもる。左サイドのロナウドを囮に右サイド・中央を次々と崩し、チャンスを創るマンUだが、ミランの粘り強い守備の前になかなか得点を奪えない。ついにジラルディーノを下げて、グルキエフを投入してまで守備に専念しようとしたミラン。しかし、終了間際、中央をドリブルで抜けたギグスがゴール前やや右に位置したルーニーへスルーパス、DFを左手に押さえ、ワントラップ後、すぐにニアサイドへシュート、タイミングを失したジーダの懸命の反応も及ばず、ゴール。
 ルーニーが存在感を見せた一戦。他方、ロナウドは中に切り込んで強烈なミドルを何本か放ったもののほぼ完封される。しかし、その存在感がミランの守備のバランスを崩した格好。急造守備陣のもろさは今後の課題。ミランはカカが常識破りの決定力を見せて試合を盛り上げたものの、マルディーニガットゥーゾという守備の要を負傷退場で立て続けに失い、尻すぼみの結果に終わった。特にガットゥーゾの不在は痛かった。3点目の失策は痛いが、アウェイでの2ゴールは、大きなアドヴァンテージ。2nd legでは1−0を狙う。