デ・ニーロ祭り

 もろもろ。買い物に行こうと思ったら、今晩はひとりなのを思い出して、なんだか得した気分。引き続きカレー。


ボーイズ・ライフ【字幕版】 [VHS]

ボーイズ・ライフ【字幕版】 [VHS]

 何の因果か、デ・ニーロ出演の映画をCSで昨晩立て続けに観てしまった。
 前者はベトナム戦争の帰還兵が夜間専門のタクシードライバーになって、すったもんだの挙句、大統領候補暗殺を計画するも、これまたどうしたことか以前から念願のネオン街の「ゴミ掃除」をすることになり、人を殺して感謝され、ヒーローになってしまう、というお話。何回か観ているので展開は覚えているものの、細部は結構忘れている。ベトナム戦争の続きを国内で(ただし心理戦として)展開するというモチーフは面白いし、パライア(pariah)一掃の欲望が大統領暗殺へとずれて、さらにパライア一掃へと跳ね返ってくるというのはなんともいえない滑稽さが生真面目さと同居していてよい。『ジョーズ』や『ロッキー』などと同系の独立200年祝祭映画としては、いくつもの迂路を経た祝い方しかできない不器用さが表面に出たこの映画は異色だと思う。
 後者は、トバイアス・ウルフの自伝 This Boy's Life を映画化したもの。家に入るや豹変する父権的「継父」ドワイト(デ・ニーロ)となんとかかんとかやっていくトビー(ディカプリオ)の成長譚。前者がある意味「ストーカー映画」であるなら、後者は「DV」映画。とにかく親父が理不尽で、たびたびトビーはボコボコにされる。劣等感の塊なのだけど、家の中で権力を振るうことで劣等感を優越感へと捻じ曲げて生きているような親父。結局、最終的には家の中でしか権力も暴力も振るえないことが暴露されるような形で、母子は解放される。ドワイトの過剰な父権的支配は、表題(Boy's Life は代表的なボーイスカウト専門誌)が示唆するようなちょっと乱暴なボーイスカウトとして機能し、トビーに他の少年たちよりも早く大人の階段を登らせることになる。自分が獅子ではないことを突きつける獅子身中の虫を育てるドワイトといったところか。Boy's Lifeとともにちょっぴり「ボーイズ・ラヴ」的な要素もあり、ただ父権的世界オンリーというわけでもない。あらすじだけみると、過剰なまでに怖い親父のようだけど、そこはド田舎の牧歌性も手伝ってのことか、誰が子供かわからないような子供じみた親父として描かれているので笑いどころはたくさんある。
 それはそうと、新聞配達で稼いだ金をパクられたらそりゃキレルさ。自分の場合、弟だったりしたけど。にしても、アメリカ映画に出てくる新聞配達はホントに雑だなあ。