生のあやうさ
もろもろ。鶏の香草焼。
- 作者: ジュディス・バトラー,本橋哲也
- 出版社/メーカー: 以文社
- 発売日: 2007/07/31
- メディア: 単行本
- クリック: 34回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
私が興味をそそられたのは、バトラーが「強さ」ではなく「弱さ」に普遍性の基礎を見出そうとしている点。マイノリティの文化政治の場合、ついつい支配者側の「強さ」に対抗しうるマイノリティ側の「たくましさ」や「したたかさ」を見出していく傾向にあると思う。けれども、そうすると、様々な差異を尊重することはできるけど、「強さ」と「強さ」の争いになり、なかなか異なる者同士が豊かに交渉を重ねることのできる公共の場が生まれにくい。対して、バトラーは、「強い」と思われていたアメリカの「脆さ」の顕在化を9・11に読み取り、その「弱さ」が複数の差異の間に公共の場を生み出す新しい普遍性の条件となりうることを、この本で示そうとしているように思われる。多分つづく。