ブーイングの意味がわからないがおめでとう

 そういえば、浦和レッズファンのみなさん、おめでとうございます(若松勉)。
 日本の場合、代表の試合でしか国際標準に触れる機会がなかったせいなのか、各年代の代表にかける期待が過剰気味のように思う。お鉢が回ったか、今回の浦和レッズに日本代表を重ねる流れには若干閉口する。AFC主催試合の独占放映権を持ち、国民総サポーター状態を演出してきたテレ朝の「絶対に〜」実況&解説が、よせばいいのに、左官塗りよろしく、その錯誤のひびを始めからなかったことにする。もっとも、浦和が今回先鞭をつけたことで、クラブの試合で世界標準を体感できるという仮説が実証され、たぶんそれはこれから再現の反復の中で常識になっていき、徐々に代表にかける過剰な期待をクラブに転嫁するような思い入れは希釈されていくに違いない。浦和を賞賛する気持ちがいつしか嫉妬に変わり、「ウチの××はいつになったら絶対に負けられない戦いを戦うんや!」とオラが町のチームの尻を叩き始める。代表にかける期待とクラブにかける期待。違う「世界」を目指す違うチームに対する異なる立ち位置を共存させて始めて、日本のサッカーは文化や伝統の位相に芽吹くことができるのではないか。地域間のライバル関係がもともと皆無の日本サッカーの場合、「世界」という大きな目標を共有することが、各クラブ間の健全なライバル関係を育むことにつながるように思う。クラブワールドカップが大きく育つことを願う。