お菓子すきすき愛してる

 こたつで寝たせいで(それだけではないかもしれない)、朦朧とした一日。
 プレミア、トッテナムvsチェルシー。壮絶なる打ち合いの末に4-4の痛み分け。2点ビハインドの場面で、センターバックのキングを引っ込めて、フォワードのベントを投入したトッテナムの指揮官、ファン・デ・ラモスの英断がゲームをおもしろくした。
 トッテナムは両サイドの攻防で完敗しており、サイドバックが全く攻撃に絡めない状況。そこで、ラモスはサイドを捨てて、センターバックを一枚削って、急造3バックにし、代わりに前線に体を張れるベントを投入した。これが吉と出て、ロビー・キーンとベントの後ろで動き回るベルバトフチェルシー守備陣の脅威になり始めた。それを見たチェルシー指揮官グラントは、逃げ切りを図るべく、カルーに代えてセンターバック・アレックスを投入し、5バック状態に。しかし、センターバックが3人という状況はいまいちなれていないのか、ポジションやマークがかぶる場面がしばしば。カルーが抜けた影響か、次第に、停滞していたトッテナムのサイド攻撃までもが奏功し始める。その後、ジョー・コールに代えて、バラックまで投入するも、前線がドログバひとりとなり、完全に主導権をトッテナムに奪われる。それでも3-4までこぎつけるも、前線へのフィードにチェルシーセンターバックが2人突っ込んでしまい、こぼれたボールとぽっかり空いたスペースをキーンに奪われ、技ありゴールで万事休す。
 前線中央に人数をかけたトッテナムセンターバックを増やしたチェルシー。攻撃はもちろん、守備においても充実したのはトッテナム。攻撃的/守備的と単純に二分することはできない、サッカーの采配の綾を垣間見たような気がした。
 ところで、実況と解説がトッテナムの選手を見て、さかんに「痩せたなあ」と連呼する。なんでもラモス監督がやってくるまで、クラブハウスはお菓子食べ放題のカーニバル状態で、キングなどは練習場に山ほどドーナツを抱えてやってくる体たらくだったらしい。ラモスが就任して以来取り組んでいるのは、戦術や技術面での指導ではなく、意識改革。なんでもチーム全体で50キロ痩せたらしいので、意識は確かに変わったようだ。変わったのはいいが、それまでのトッテナムの選手たちっていったいプロとしてどうなんだろう。