2009年非物語私的十傑

2009年を非物語で振り返る。

 
 対談本。「めんどくさい」は狂うらしい。根っからのよだきず(めんどくさがりや)には耳が痛い。

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

 
 こちらも対談本。平山夢明による幼少期の回顧には目が醒める。

狂気な作家のつくり方

狂気な作家のつくり方


 欧州を舞台にした歴史幻想譚の書き手による「閑光」(非・観光)指南書。文章も毒気も真摯さもいい。飛行機は豚舎だ。

外人術―大蟻食の生活と意見 欧州指南編 (ちくま文庫)

外人術―大蟻食の生活と意見 欧州指南編 (ちくま文庫)


 (最後の)真剣師小池重明の伝記。棋風も生活も常識はずれだが、なぜか親近感が湧く。

真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)

真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)


 食べものをめぐるルポルタージュパキスタン(だったかな?)の残飯市場は一生わすれない。

もの食う人びと (角川文庫)

もの食う人びと (角川文庫)


 モダニズム文学を隠された感傷、抒情の観点から読む研究書。サローヤンの小品の解釈(第5章)は白眉。(当てはめじゃない)解釈をもっと読みたい。

抒情するアメリカ モダニズム文学の明滅

抒情するアメリカ モダニズム文学の明滅


 権力は(外ではなく)個々人の内面において機能するので、それに対する抵抗が困難になる、というジレンマに立ち向かう研究書。仏語で書いたD論を日本語に翻訳したものなので少し違和感を覚えるが、論の展開や論理構造がしっかりしているので読みやすい。

権力と抵抗―フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール

権力と抵抗―フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール


 古今東西の文学テクストを海や川に浮かべて論じた大作。グリッサン理論の実践か。世界文学の発展的リフォーム。

群島‐世界論

群島‐世界論


 南米に淵源をもつマリーシアの伝統からフットボーラーのメンタリティについて考えてみる新書。昨今、ビデオ判定導入推進の流れが勢いを増しつつあるが、フットボールの本質は化かしあいなんじゃないかと思う。

マリーシア (光文社新書)

マリーシア (光文社新書)


 住まいの機能を腑分けし、住人が家のかたちにあわせるのではなく、家の方を住人のビジョンにあわせることを提案する新書。家の構造はメンタリティや生活の嗜好さえも左右する。なんてゴシックな。