ディープインパクト始動

 ついに明日、ナリタブライアン以来の三冠馬を目指すディープインパクトが秋初戦「神戸新聞杯」を迎える。アグネスタキオンラジオたんぱ杯、あるいはクロフネ武蔵野Sのような衝撃をもたらした若駒S以来、順調に成長し、ダービーでは後続に絶望的な5馬身差をつけて完勝。3冠レースを3,5,7馬身と徐々に差を広げながら3冠馬になったナリタブライアンのごとく、2馬身半、5馬身と順調に世代の頂点への地歩を固めつつあるディープは、もはや勝敗ではなくどれほどの強さを見せつけるかという衝撃の度合いのみが関心を集めている。
 筆者自身、負けるならば皐月賞だろうと踏んでいたが、落馬寸前の出遅れをものともせず、他馬を子供扱いの完勝。もはや3冠は規定路線、予定調和の状況である。しかし中央競馬史上「無敗の3冠馬」はシンボリルドルフただ一頭。ディープがその伝説を継承できるかは、明日の神戸新聞杯にかかっている(三冠目の菊花賞は当然勝つだろう)。
 
 新聞各紙、ディープの本命は動かないが、「意外に成長していない」という声や、ゲートを不安視する声もある。今回死角を挙げるとすれば、休み明け。とはいえ、春のライバルたち(アドマイヤジャパンローゼンクロイツシックスセンスヴァーミリアン)もまた休み明けであり、ダービーの5馬身をひっくり返す要素はない。出走馬13頭中、ディープインパクトを負かすとすれば、未対戦の馬か。注目はマチカネキララトウカイトリックストーミーカフェの3頭。キララは藤沢厩舎のスター候補。未だ、厳しいレースをしたことはないが、底は割れていない。距離的にもほぼベスト(しかし、遠征経験はなし)。トリックは古馬との激戦の経験が何より強み。経験値で他馬を凌駕する(1600万条件戦2着)。そしてG12着、重賞2勝の実績馬カフェは、何よりも圧倒的なスピードで自分から動ける強み。展開的にも有力(骨折休養明け)。しかし、いずれももう一つ推すことはできない。キララ、カフェは共に長期休養明けだし、トリックは古馬とやったとはいっても、斤量差の恩恵を受けた印象が強い。いずれにしても、ディープの連下候補の域を出ない。
 ディープが負けるとすれば、最内を引いて出遅れ、他のジョッキーの厳しいマークにあった時ぐらいしか想定できない(オペラオーが宝塚記念で負けたときのように)。9番を引いた今回はちょっと不測の事態は起こりそうもない。ディープの両脇を引いたトリックとキララのジョッキー、芹沢と北村に奇策があるか。負かすとすれば、おそらくカフェ。弥生賞のように武が様子見をしつつ、ダメージを残さない終いだけの競馬をするのであれば、カフェの前残りの可能性は若干残る。いずれにしても、ディープがどこで動くかで相手も変わりそう。

 結論 ◎ 6枠9番  ディープインパクト
     △ 4枠4番  ストーミーカフェ
     △ 7枠10番 マチカネキララ
     △ 5枠6番  アドマイヤジャパン

 ご覧の通り、対抗、単穴なし。単はディープ以外ない(だろう)。一応、展開上、先行馬を中心にチョイス。もっとも、ディープが捲りに出たら、全滅の恐れも。そのときは、シックスセンスあたりが注意。