太母

 早朝ランニング、口座開設など一日事務仕事で駆け回る。彼の地より爆音轟かせながら進入してくる「君が代」の妨害にも負けず、読書。合馬の筍で炒め物。大学時代によく食べたきびなごの刺身を昔懐かしく。『帝国日本の英文学』を読了して数日経つのでそろそろ不案内ながらもまとめてみようかと思っていたら、祖母が予断を許さない状態にあることを知らされる。正直、身内の人間が亡くなるという経験を幸か不幸かまだしたことがないので、かなり動揺する。思えばグレートマザーみたいなおばあちゃんで、それこそ大山総帥みたいな豪奢で一本気のおじいちゃんを大らかに包んできたおばあちゃん。人間年をとると丸くなるもので、典型的な亭主関白だったおじいちゃんも近年ではおばあちゃんに押され気味。理想的な夫婦に見えました。それだけにじいちゃん一人になったら、と思うとかなり不安。幸い、近くに身内の人間がたくさんいるのでじいちゃんが、孤独になるということはないのだが。とまれ、野山を開墾し、七面鳥の養鶏を引き受けながら4人の娘と12人の孫と2人のひ孫を育てたおばあちゃん、最近では確かに弱っていたけど、まだまだ元気だな、と思っていただけに。やっぱり結婚式、早めにやっておくべきだった、と後悔しつつも、入籍だけでもしといてよかった、と思う。いや、まだ亡くなってはいないのだけれども。そういうわけで今から実家に帰ります。