まだ活動していたんだね、永井真理子

 久しぶりに本格的な掃除。
 中学・高校時代に聞いていた永井真理子を引っ張り出してきて聴く。思えば、永井真理子の人気の分水嶺となったのは、1992年夏に横浜スタジアムで行われたライブを収録したライブアルバムだったような気がする。ここで永井は2つ重要な転換をしている。ひとつはポップスからロックへの転向。何度も「ロックンロール!」と叫ぶだけではなく、編曲も明らかにロック調。「ミラクルガール」のアレンジには面食らった。そして、もうひとつの転換はシンガーソングライターへの脱皮である。それまで永井は一部の作詞を除いて、ほとんど全ての楽曲を外注していた。このライブにおいて披露された完全オリジナルの「chu-chu」という楽曲は、彼女がそれ以降全ての作詞・作曲を自分で手がける、という強烈な意思表明だった。
 翌年、永井は同じく横浜スタジアムで行われたライブにて、バックバンドのギタリストとの結婚を発表する。この結婚は人気の凋落傾向を決定づけた、といえるかもしれない。しかし、永井の人気を支えていたものが、「元気な女の子」というイメージだった、という事実を考えるとき、1992年に始まった自立しようともがく大人の女像への転身こそが分水嶺だった、という私の考えは変わらない。無害で健全な女の子が突如としてラジオで性的なお悩み相談までこなし始めたとしたら、Tシャツにジーパンの女の子が突然革ジャンを着てきたとしたら、ファンはどう思うだろうか。強烈なカリスマ性があれば、些細な問題なのだろう。しかし、急激な方向転換を時代が許すほど、永井真理子はカリスマではなかった、ということなのだろう。
 方向転換したあとも聴いていたが、うーん。個人的に永井真理子の最高傑作は 「Keep on "Keeping on"」(辛島美登里)。なんでも現在オーストラリア在住とか。自主レーベルで活動中。オフィシャルサイト→http://www.marikonagai.com/