嫌韓流2

 8時間ぐらい寝てしまう。映画を見に行こうと思っていたが、残念ながら目当ての映画が夜中なので止めに。街のほうではお祭りをやってて、帰りがやばいことになりそうなので。で、ファミレスでジョッキを片手に読書をすることに。夫婦揃って、休みの日にファミレスに読書しに来るようなご家庭は、そうそうないでしょう。ただカネも元気もないだけですが。晩飯はさっと作った炒め物。真アジの刺身。

 

マンガ嫌韓流2 (晋遊舎ムックシリーズ)

マンガ嫌韓流2 (晋遊舎ムックシリーズ)

 で、引き続き2を読む。韓国の論理が間違っている、というのは素直にそうだと思うし、いろいろやりすぎだろうと憤ってもいる。けれどねえ、あんたもどんどん無茶苦茶になってるよ、山野さん。人のこといえるのか。以下、前日と被っているかもしれないが、問題点を箇条書き。

  1. 韓国人特有の精神病の存在(DSMなんかに載っているからといって真に受けすぎ。精神科医の商売の一環ですから)
  2. 韓国に対する断罪が、韓国側と同じレトリックを用いて行われている。(韓国側→日本の戦争中の悪行の数々。日本側→韓国=窃盗団など)
  3. 韓国の間違っている点を指摘することで、なぜか自分たちを正当化。
  4. 思想と国籍の一致→日本人でなければ日本側に立てない(在日朝鮮人帰化して初めて真っ当な人間として描かれる)
  5. 細木数子的覚醒(何も知らない主人公や韓国側に洗脳されて育った在日の人が、次第に目覚めて正反対の視点を得る)
  6. 謝罪する/しないの2択ではなく、その2択が国家間のパワーバランスの問題であることを指摘するだけでも大分視野が開けてくるように思うが
  7. 韓国の「謝罪しろ、正しい歴史認識を持て」という主張では永遠に友好関係を築けない→自分たちも韓国人に烙印を押し付け、本物の歴史に目覚めろと迫る。韓国も悪いにしろ、自分たちも同じ轍を踏んでどうする。
  8. パラオはお汁粉を食べるなど日本らしさが残る国なんだ」「そういう国と仲良くしたいですね」(50)→ネタなのか?
  9. 韓国人のことが嫌いな台湾人が日本を免罪し、韓国を糾弾する(戦後は免罪、という1巻での基準ですらない。その場にいる学生が生まれているかどうかというのが、とりあえずの基準か。全く意味のない基準ではあるが→嫁の指摘)

台湾人:1972年に日本が中共中華人民共和国)と国交を正常化し、台湾と断交したとき、韓国メディアは一斉に日本を非難したのよ!
日本人:申し訳ない…
在日:日本酷すぎだな!(ニヤニヤ)
台湾人:私達が生まれる前のことだし、あなたが謝ることじゃないわよ。日本人の悪い癖ね。(変なの)
                 [中略]
台湾人:そして韓国も1992年に中共と国交を結ぶのね。台湾はかつて日本に断交された苦い経験があったから、台湾政府は何度も交渉し、韓国政府から「断交などあり得ない」という返答を得ていたの。
在日:韓国政府イカス!さすがオレの祖国だぜ!(日本は韓国を見習え!!)
台湾人:しかし…、突如韓国は台湾と国交断交を行ったのよ!!
                 [中略]
在日:そ、そんなこと言うなよ。韓国人と台湾人は、かつて日帝に植民地支配された被害者同士、つまり仲間じゃないか。
台湾人:仲間?寝言言ってんじゃないわよ!私は韓国人のような反日教育を受けていないし、歪んだ被害者意識も持っていないわ。一緒にしないで!!(40-43)

  
 あとがきで著者は、「日韓友好のために…」と結んでいる。この理念自体は正しいと思う。この本が、韓国を理解し、友情を深めようと、あえて議論を吹っかけるためにわざと出したものであるならば、高度な戦略だと言わざるを得ない。しかし、このマンガを読む若年層は間違いなくただの韓国嫌いになる。そんなにリテラシーがあるわけないでしょうが。「日韓友好」という本書の免罪符は、2005年日韓友情年よりも空虚に響く。相手を尊重する姿勢は皆無だし、確実に相手を下に見ている。そんな奴と友達になる人がいたとしたら、真性ドMの神様として崇め奉りたい。いや、いないでしょう、ここまで罵倒されて。ならば、わざわざ「日韓友好」なんていわずに、「日韓断交」の書として徹底すればもっと正直だったのでは。
 正直言って、私も国家としての韓国のやり方は大キライだが、今後の国際政治の文脈において、東アジアでの孤立は死を意味するということは念頭においておいた方がいい。少なくとも、悪戯に中韓を刺激する無意味な靖国参拝などしている場合ではない。国益は「嫌韓」や「反中」にではなく、「東アジアの協調」にある。私の嫁は韓国のある大学との国際交流をここ数年受け持っている。彼女に話を聞くと韓国人のいい部分がたくさん見えてくる(非常に礼儀正しい。年上はそこまでしなくてもというぐらい敬う。握手にも年上か年下かによって種類がある。嫁に「美人ですね」と言う。当然お世辞ではあるが、嫁はいい気分なのであえて水は差さない、と遠まわしに水を掛けてみる)。テレビに頻出する旗を燃やす韓国人などは、日本でいうところの街宣車持ちの右翼みたいなものだと考えていい。一般の韓国人は、日本国家に対しては怒っているだろうが、日本人に対してはわりと冷静な対応だったりする。もちろん、長い間住んだら文化のギャップを強く感じ、疎外されたり、差別されたりしているような気になるかもしれない。でも、それはどこの国に行ってもきっと同じだろう。国家の方針がどうであれ、それに全ての人々が染まっている、と考えるのはあまりに素朴すぎる。国境を越えた友好関係は、そうした国家のステレオタイプを壊しながら深まっていく経験なのだろうと思う。思うにこの山野車輪という人、韓国に行った事もなければ、韓国人と話したこともないのでは? まずは地道に身近な韓国人を知ることも大切だと思います。って、私も外国に行ったことはないのですが…(苦笑)。