ひとつのサイクルの終焉

 CL、ミランvsアーセナルマンUvsリヨンを立て続けにみる。後者はぬるい試合で思わずぼーっとしてしまうような凡戦だったが、前者は稀にみる好ゲーム。
 守備網を注意深く張り巡らせて、カカ、パト、インザーギの一発に賭けるミランに対し、どんな相手だろうと変わらずボール保有率を高め、ゴール前のパス交換で華麗に魅せるアーセナルは愚直なまでに自らのスタイルを守る。サイドバックが押し込まれ、自陣に張り付かざるをえず、ほとんど5バックのような状態を強いられたミランは、中盤のスペースを驚異的な運動量で埋めるガットゥーゾらの献身でなんとか持ちこたえ、前線の個人技で何度か決定的な場面をつくる。しかし、最終的にはミランの中盤の疲弊が決定的なものとなり、セスクが個人技で疲れの目立つガットゥーゾを交わし、バックラインの前に空いたスペースをそのまま自ら活かして、見事なミドル。濡れたピッチを計算してのことか、キーパーの手前で鋭く弾んだボールはゴール左隅を抉ってゴール。ミランは前がかりになるも、途中出場のウォルコットに右サイドを切り裂かれ、中央でクロスにあわせたアデバイヨールに決定的な2点目を奪われる。ベテランの多いミランに抜本的な世代交代を迫る、若いアーセナルの快勝だった。来期のミランは、攻撃陣はカカやパトをベースに、守備陣は長身キーパー・カラチを中心に再編を断行し、全く違うチームになっていくのではないだろうか。