愛じゃあ地球は救えねえ

 あるうららかな春の日のこと、こんなメールがきた。

こんにちは!Googleの黒バージョンを聞いたことがあるか?

http://www.darkoogle.jp

「 Darkoogle は、日常生活でエネルギーを節約するということを私達全員に気づかせるために黒い背景を設定しています。」


http://blogs.yahoo.××××

この記事によると、背景が白いウェブページを表示する際の消費電力が74Wの場合、黒いウェブページであれば59Wで済むそうです。

そしてGoogleが一日2億ページビューであり、一回の検索につき10秒表示されると考えると、背景が白の時と比べて、黒では1日あたり8.3MWh、そして1年あたり3000MWhの消費電力が削減できるそうです。そして1KWhあたりの電力料金を10セント(12円)と考えると、年間30万ドル(3600万円相当)の消費電力の節約に結びつくとのこと。

Darkoogle を見るたびに少しでもエネルギー消費を抑えようという気持ちになるだろうとのこと。

あと、目に優しい^^

普通に検索ができるので、ただ黒いだけです。

この検索結果は Google により提供されております。

Darkoogleは、白と比べて優しいです☆

地球について、考える。!!!!!

ということらしいので、行ってみると、

Darkoogle is no longer available because black background Google does not reduce energy consumption
and it will increase energy consumption on LCD monitors.

If you want to save the planet, don't use black background Google.

You can continue your search with the following websites

なんてことになっていた。なるほど、地球を救うのも大変だ。
 環境保護って抽象(思想・哲学)のレベルでは面白いのに、具象になるとどうしてこうも矮小化されて陳腐になるのか。というか子供っぽい。Googleがいったいいくら稼いでいると思っているんだ。たかだか3600万ごときでガタガタいうんじゃねえ。*1都市伝説としてはおもろいけど。この手の運動は、手っ取り早くて誰もが関係のある身近なものに走りがちだけど、むしろ地球はわれわれの手の届かないところにあるんじゃあないだろうかと思わずにはいられない。スケールが小さいとか大きいとかの話でもなくて、単に「地球にやさしい」というフレーズの欺瞞というか。これはただ「人間にやさしい(はず)」、あるいは「消費者にやさしい」ゆえに「生産者にとってもやさしい」という「風が吹けば」式の本音がオブラートに包まれて迂遠な言い回しになったもの、というあたりが真実なのではないか。むしろ「地球がやさしい」という方が核心に触れている感じがする。普段吸っているのは空気なのであって地球ではない。踏んでいるのは地面なのであって、地球ではない。サンバルカン以来地球が救われるシーンをたびたび目撃してきた私が思うに、見慣れない、アンタッチャブルなものとして地球を見直したほうがいいのでは、とついつい思ってしまう。両面コピーしても地球は救えませんから。*2 身近なもので済ませたいのであれば、白のスクリーンか黒のスクリーンかの議論をする前に、まずあなたの呼吸を止めるのが一番手っ取り早くて確実な方法だと思われます。なので、地球より先に、まずそんなかわいそうなあなたに人工呼吸を施す必要がある、と溢れる涙(もしかして汗?)を拭いながら、私は思います。

*1:Googleの立場に立って、大きくでてみましたが、腹の中では「その金くれ」、と連呼してます。

*2:とか偉そうにいいつつ、ある人から薦められて、学会発表で自分もやってました。大きな流れには逆らえないものです。