黒笑小説

黒笑小説 (集英社文庫)

黒笑小説 (集英社文庫)

 ブラックな笑いを誘う短編集。
 文学賞の受賞と大学の合格発表が同期して思わぬ勘違いを呼ぶ「もうひとつの助走」。編集者側の思惑をよそに新人賞を受賞して天狗になっていき、ついには本職をやめてしまう新進作家「線香花火」。新人賞受賞が終わりの始まり「過去の人」。新人賞を選ぶ作家の眼力をドッキリカメラ的に試す「選考会」。巨乳にとり憑かれ、なんでも巨乳に見えてしまう精神の病「巨乳妄想症候群」。バイ○グラとは反対にEDを促進する薬「インポグラ」。微に入り細を穿つ驚異の視覚に目覚め、空気中を跳梁跋扈する微粒子が見えてしまう男「みえすぎ」。ふりかけると誰でもモテモテになるスプレーとモテナイ遺伝子の相克「モテモテ・スプレー」。悪女による現代版シンデレラ「シンデレラ百夜行」。別れた彼女が彼氏にストーカー指南「ストーカー入門」。アニメとタイアップした玩具(逆も可)に踊らされる親たち「臨界家族」。若手漫才コンビと決して笑わない(あるいは笑えない)ボーイ「笑わない男」。父親似の娘が写る写真に顕れた亡き母の顔「奇跡の一枚」。
 『虚無僧探偵ゾフィー』が読みたい。