柔の道

 「柔ちゃん」こと谷亮子が銅メダルに終わった。集中して観ていた訳ではないので、特にどうこうというわけではないが、全盛期のころの圧倒的なスピードが鳴りを潜めている印象を受けた。
 ところでメダルのプレゼンターは柔道が初めて正式競技として採用された東京五輪の金メダリスト・ヘーシンク。『1976年のアントニオ猪木』がすっかりヘーシンクを脱神話化してしまっていて驚いたばかり。今やIOCの重鎮となっているヘーシンクと猪木との異種格闘技線を経て、右半身に麻痺の残る身体で生きながらえているルスカ。リングス・オランダの総帥として日本のマット界に数々のタレントを送り込んだドールマンも含めて、オランダの柔道界はなにかと日本と縁がある。
 それはそうと、「柔ちゃん」は引退を示唆したとか。主婦になる、というが、これまで散々総動員されてきた彼女のアドレナリンがそんな穏当な落着を許そうか。女子アマレスの猛者を巻き込んで、新しい物語をつづっていただきたい。ぜひ。