地獄

 朝の日常的一コマ。
 通りに肉をばら撒いてカラスを集める男が地域で問題視されているというニュース。
 なんでこの人は肉をばら撒いているのか、と嫁に水を向けると、「奥さんを殺してばらばらにしてカラスの餌にすることで証拠隠滅を図っているんじゃない?」というお返事。なるほど。そうすると、人肉が食い足りなくなったカラスがやがて生きている人間を襲い始める、というホラーの方向ですな。
 私なんかだと、彼はカラスを集めているのではなくて、隠しておきたい場所からカラスを遠ざけているのではないか、という発想になるのですが。たとえば、バラバラの死体をちょっとずつ捨てているゴミ捨て場にカラスが寄り付かないようにとか、あるいはカラスとは何の関係もなくて、自分がカラス騒動で注目を浴びることでなんらかの嫌疑をかけられる恐れのある誰かから注意を逸らすとか。違う方向にもっていくんだったら、厄介な都会のカラスを肉でおびき寄せておいて、十分集まるようになったところで毒入りの肉を食わせてカラスたちを一網打尽にするだとか。
 辞して、海地獄→山地獄→秘宝館→湯けむり展望台→温泉→帰路につく。

 海地獄はもうひとつ。
 山地獄はちょっとした動物園になっていて、毛深いアフリカ象やら片足で眠っているフラミンゴやら日村にそっくりのラバがぼーっとしている。カバが一番の人気者のようで、えさのじゃがいもを求めて近寄ってきてはがばっと口を開ける。こぼれたジャガイモを探しに水中に潜る。また浮上して口を開ける。けれど媚びない。逆立ちなんぞまさかやらない。
 秘宝館は高校のときに『GON』で心酔して以来、私の心の聖地だったので今回は巡礼。最初は面白がっていたのに、だんだん「こればっかりなの?」と不機嫌になる嫁を宥め、某夫人と2ショット撮影をお願いする。だましてすまん。
 湯けむり展望台で電線・電柱のない絶景を楽しむ。眺望絶佳。
 温泉で箱蒸しを体験して、帰る。
 中島らも『空からぎろちん』。この人のいいところは、自分の幼稚な感性を大人の論理で再現できるところ。