ブードゥー脳、正直のはじまり

 FNS歌謡祭を義務感に駆られて観る。
 だんだんミュージック・フェア化しているような気がする。
 意外と知っている人たちばかりだったので安心する。
 "Pabo" って韓国語でアホって言う意味なんだ、と嫁に教えてもらう。構成面で羞恥心にかなりの差をつけられている。たぶん、あんまり売れなかったのだろう。
 ただでさえか細い声の桜井はわざと苦しくなる歌ばかり歌っている(歌わされている)ような気がする。そうやって女性ファンの母性本能をくすぐるのだ。小悪党。
 水谷豊の心ない歌声に年の瀬の寂寥感をおぼえる。
 教育テレビでやっていたヤン・ソギルの壮絶な生い立ちをちら見しながら。

 本格書き下ろし。出生の秘密もの。前世の記憶という奇想でやや捻り。『混沌(カオス)の脳』におけるクローン技術を思うと、奇想の隔世を感じる。代理母ではやや物足りない。けど、10年前だ。全体的な出来は普通。たぶん、事件の衝撃がもうひとつなのと、車椅子の少年探偵の推理が飛躍しているせい。登場人物の顔が思い浮かばない。

混沌(カオス)の脳

混沌(カオス)の脳

 双子とか姉妹/兄弟とか異性装とか、入れ替えトリックの未来を切り開くミステリ。しかし叙述の量にしても密度にしても一本調子。展開にあんまりアップダウン、緩急がないのが難点。なんだか脚本みたい。元分子生物学者だけあって、知識はすごい。たぶん、「何枚で」という紙幅指定のある依頼だったのではなかろうか。もっと自由に書ければもっと面白くなったはず。アイディアはとてもいい。

正直書評。

正直書評。

 メッタ斬りシリーズでおなじみの社長による書評。ひとつひとつの書評が短すぎて物足りない。天敵の淳ちゃんをメタメタにしている。袋とじでは慎ちゃんもこっぴどくやられている。ふたりとも殺されても死なないだろうけど。池上永一を絶賛、プッシュしている。

歴史の〈はじまり〉

歴史の〈はじまり〉

 『ナショナリズムの由来』が踏み切り板になって一気にジャンプした観のある大澤真幸と気鋭の社会学北田暁大の対談本。連想の無限ループを楽しむ本。細かいことにはいちいち突っ込みは入れず、奇想天外な発想力に酔う。世代間のギャップがいいスパイスになっている。