竜王戦

 史上初の永世竜王誕生、史上初の永世7冠、そして史上初のタイトル戦3連敗から4連勝での王座防衛、と新記録目白押しの竜王戦第7局が明日行われる。竜王獲得から連続5期防衛での永世竜王に王手をかけるのは渡辺明竜王。気鋭の鳳雛(というのは礼を失するかもしれない)と対峙するのは、永世6冠をすでに手中に収め、通算7期目の竜王位獲得、永世全タイトル獲得へ迫る羽生善治名人。
 羽生3連勝で迎えた第4局、後がない渡辺は端攻めを匂わせながら7筋に殺到する。竜を作り、横から前から羽生玉に迫るが凌がれ、4筋から反撃を受け自玉は風前の灯。竜を楯に前進、入玉に一縷の望みを託すが、羽生優位は動かない。しかし、渡辺も粘る。持ち時間を両者使いきり、一分将棋に突入。史上に残る大接戦、研ぎ澄まされた渡辺の集中力が、羽生の攻めの帰趨を打ち歩詰めと見切り、最善手で逃げ切りを図る。手を尽くした羽生だが攻め手を失い、潔く投了。一分将棋、負ければタイトル返上の局面で、よくもまあこんなに難解な将棋を読みきれるものだ、とあきれ返った。
 素人にはほとんど先の読めないこの大熱戦を境に、渡辺が3連勝で逆王手をかける展開になった。今季いまいち調子の出なかった竜王が吹っ切れたような感じ。*1 
 心情としては竜王に最後の砦を守ってもらいたい。が、羽生名人の永世7冠も見てみたい気はする。

探偵倶楽部 (角川文庫)

探偵倶楽部 (角川文庫)

 富裕層を会員に持つ探偵倶楽部が警察の捜査の脇で事件を解決。手堅くまとまっているのは職人芸だが、もう少しアクロバティックな捻り技が欲しいところ。

*1:先日のNHK将棋で竜王は解説を務めておられたが、読みが当たらず苦笑いされていた。やはり盤面に臨んでいる棋士は、離れて見物している棋士と集中度が違うのか。そういう単純なことではないような気がするが。