骸の爪

 通院。下側の智歯の抜歯には熟練の歯科医先生も及び腰の様子。何度も腫れるようだったら抜きましょう、てな感じで、様子をみることに。右上は再来週の予定。

骸(むくろ)の爪 (GENTOSHA NOVELS)

骸(むくろ)の爪 (GENTOSHA NOVELS)

 滋賀の人里離れた山中に蟄居する仏像工房で起こる仏師の連続失踪。仏師の俊英とその恋人が失踪した20年前の事件、そして視点人物である駆け出しの作家「道尾」のアンビリバボーな不思議体験が絡み合う。サスペンスに次ぐサスペンスで畳み掛け、最後は道尾の友人、霊現象研究家「真備」とその助手が鮮やかに解決。
 新鋭ながらすでに練達の域に達している筆致と構成力、本格ミステリの王道とでもいうべき作品。実に手堅い。読み間違い、聞き間違いを梃子にして、ドラマを展開させる手法は自家薬籠中、お手のもの。「マリ」が出てきたときには、歌野晶午のデビュー作を思い出したが、そう問屋は卸さなかった。
 それにしても、読了後もタイトルの意味がいまいちぴんとこないのは、私が鈍いからなのか。まあ、「むくろ」が「もぐら」で、「つめ」が「草刈鎌」だということぐらいはわかるのだけど。