池魚のわざわい

 元旦前後から鼻喉に異変を感じ、微熱に浮かされ、やがて何もできなくなる。ついには高熱に乗っ取られ、重ね着に重ね着を重ねても背筋をひた登ってくる寒気に震える。なにもできずひたすら床に伏せる。丸一日震えた甲斐あって、朝には汗をたっぷりかいて、ようやく平熱に戻る。
 めったに風邪をひかないくせに、いったん罹患すると重症化する。どこでもらってきたのだろう。本すら読めないのは困る。いやそれどころか『トリストラム・シャンディ』を読み始めたせいだったりして。予想に反してめちゃくちゃおもしろい。本を読み始めたせいで本が読めなくなる。知恵熱。その線も捨てがたい。