2012-02-19から1日間の記事一覧

 ゼロの章

この章の最後まで行きましたら(それよりも前はだめですが)、ひとつ皆さんと一緒に前に引き返して、空白のままだった二つの章にもどらねばなりません。あの二章のおかげで、私の名誉は、ここ半時間ばかり血を流しっぱなしなのです――私は何とかその血を止め…

 書く機械、書く解剖標本

少なくとも一つだけ私にとって慰めになるのは、私はこの章のはじめの所で、批評家の攻撃とは無関係のほんものの熱病におそわれて、ざっと八十オンスばかりの血をこの週とられていることです。したがって今のところは、私の筆のしぶる原因は脳髄の発する微妙…

 interiorを宿す外套、もの書くマテリアリスト

ルドヴィコス・ソルボネンシスはこういうことはすべて肉体(本人の言葉でいえば「外的物質」)だけの問題だといっていますが――これはまちがっています。魂と肉体は、何かを受けるという場合には必ず共同受益者の関係にあるのです。人間が衣服を身につければ…

 騾馬と欲望

これはわれわれ人間の下半身が持つ情欲あるいは欲望を、簡潔に表現した、というだけではなく――同時に実に巧みに揶揄もしている言葉だというのです。そういうわけで私の父はその生涯のずいぶん長い期間にわたって、いつもこれを借用することにきめていました―…

血管、血流

母の血管には一年十二カ月の全部を通じて、節度を心得た血の流れが整然と流れていましたし、それは昼と夜とにかかわりなく、いざというような時でもまったく同じでした。あるいは信心深い人の手に成る論文に見られる初心者的熱烈さから、体液の中にすこしで…